講04 は3本の解説で構成されています
- 1.少子高齢化/TR-007
- 2.情報化(AI・デジタル化)/TR-006
- 3.グローバル化・多文化共生・持続可能/TR-027
この講で説明できるようになるギモン
- 合計特殊出生率とは? 今の日本は?
- 高齢化社会・高齢社会・超高齢社会の違いは?
- M字カーブ・L字カーブとは?
- IT革命・ICT・IoT・AI の関係は?
- Society 5.0 と第四次産業革命の関係は?
- グローバル化・ダイバーシティ・ノーマライゼーション・多文化共生・持続可能とは?
① 少子高齢化
日本の総人口は約 1 億 2,000 万人。2008 年をピークに減少に転じています。 平均寿命は伸び続け、2023 年では 男性 81 歳・女性 87 歳。 子どもの数が減り、高齢者の数が増える 少子高齢化 が進んでいます。
「○○社会」の段階
- 高齢化社会
- 老年人口(65歳以上)が 7% 以上
- 高齢社会
- 老年人口が 14% 以上
- 超高齢社会
- 老年人口が 21% 以上 ── 日本は約 30% で超高齢社会
合計特殊出生率
- 定義
- 1人の女性が生涯に産む子どもの数の平均
- 1947年
- 4.32
- 2023年
- 1.20
- 人口維持に必要
- 2.07 以上
少子化の原因 ── M字カーブとL字カーブ
合計特殊出生率が低下している主な原因は 晩婚化と 女性の社会進出と仕事・育児の両立の難しさです。 日本女性の労働力率を年代別にグラフにすると M字カーブになります。30 代で結婚・出産・育児のために仕事を中断する層がへこむためです。 スウェーデンなどでは「山型」(連続して働き続ける)になっており、日本との差が浮き彫りになります。
また、女性の 正社員率のグラフは L字カーブを描きます。20代をピークに、結婚・出産後は非正規雇用が増えるためです。 M字(労働力率)と L字(正規雇用率)は 入試で取り違えに注意。
対策
- 育児・介護休業法(1995年):男女ともに育児・介護休暇が取得可能
- 男女共同参画社会基本法(1999年):ポジティブアクション(社会的に立場の弱かった人の格差是正措置)の推進
- 介護保険制度:40歳から介護保険料を支払い、65歳以降の介護サービスを1割負担で利用可
- ゴールドプラン:デイサービス/ショートステイ/ホームヘルパーで高齢者福祉を支援
- マタハラ防止:妊娠した女性への不当な対応をなくす
少子高齢化と社会保障の関係
少子高齢化は 税金を払う人が減り、税金を使う人が増える構造を作ります。 2000年は高齢者1人を現役 3.6 人で支えていましたが、2050年には1人で1人を支える肩車型に。 消費税の段階的引き上げ(3% → 5% → 8% → 10%)は、この社会保障費の財源確保が大きな理由のひとつです。
② 情報化社会(AI・デジタル化)
2000 年頃を境に、社会は アナログからデジタルへ移行しました。これを IT革命 と呼びます。 この変化を支えているのが ICT(情報通信技術)です。
情報化のキーワード
- IT革命
- アナログからデジタルへの移行(2000 年頃)
- ICT
- 情報通信技術。授業のパワーポイント・電子マネー・POS・ATM など
- E コマース
- オンラインショッピング/ネットオークション/ダウンロード販売
- FinTech
- 金融+ICT。キャッシュレス決済・暗号資産(ブロックチェーン)
- ビッグデータ
- ポイントカード等で蓄積された膨大なデータ。商品開発・販売戦略に活用
- IoT
- Internet of Things。双方向の相互通信が可能(ICT との違いに注意)
- ユビキタス社会
- いつでも・どこでも・誰とでも情報交換できる社会
- AI(人工知能)
- 音声アシスタント・自動運転・生成 AI(ChatGPT 等)・スマート農業 など
Society 5.0 と第四次産業革命
AI が普及した現在を Society 5.0 と呼びます。 狩猟社会 → 農耕社会 → 工業社会 → 情報社会 → Society 5.0 という社会発展の第5段階です。
産業革命の歴史は4回:
- 第1次(18C):機械化(蒸気機関)
- 第2次(19C):重化学工業化
- 第3次(20C):コンピュータ導入
- 第4次(21C):AI 化 ── これにより Society 5.0 が実現
情報化社会の課題
- 情報リテラシー(メディアリテラシー):複数の情報源から事実を判断する力
- 個人情報漏洩:生成 AI に個人情報を入力するのは厳禁
- 著作権侵害:生成 AI が無断で他者の創作物を学習・出力するリスク
- ハルシネーション:AI が事実に基づかない情報を 本当のように出力する現象
- サイバー犯罪:コンピューターウィルス・不正アクセス
- デジタルデバイド:ITを使いこなせる人とできない人の格差
③ グローバル化・多文化共生・持続可能な社会
グローバル化とは、国や地域という枠組を超えて人・物・情報がやり取りされること。 コカコーラ・マクドナルド・スターバックス・トヨタ自動車が世界中にある状況がその象徴です。
グローバル化に対応するキーワード
- ダイバーシティ
- いろいろな人が 存在している状態
- インクルージョン
- いろいろな人が 活躍している状態
- ポジティブアクション
- 社会的に不遇な人を優遇する是正措置(例:女性管理職限定の採用)
ノーマライゼーションと共生
ノーマライゼーションは、高齢者・障害者を特別扱いせず、普通の生活を送れるようにする考え方です。 これを実現する手段が バリアフリー(段差解消等)と ユニバーサルデザイン(誰でも使えるデザイン)。
民族・国境を越えて全ての人が尊重し合って暮らす社会を 多文化共生社会 と言います。 日本にも アイヌ文化・琉球文化 など多様な文化が存在しており、その共存が求められています。 多文化共生で大切なのは 異文化理解—— 違いを排除せず受け入れる姿勢です。
持続可能な社会
地球規模で進む環境悪化(北極氷の減少・PM2.5・黄砂など)への対応として、持続可能な社会 が提唱されています。 定義は 「現代世代の幸福と将来世代の幸福が両立できる社会」(→ はじめに)。
これを実現するためには次の3つの社会づくりが必要とされます:
- 循環型社会(3R・4R・5R)
- 低炭素社会(CO₂排出削減)
- 自然共生社会(生物多様性の保全)
3R → 5R
- 3R
- Reduce(減らす)/Reuse(再利用)/Recycle(再資源化)
- 4R
- 3R+Refuse(断る)
- 5R
- 4R+Repair(修理する)
NGO と NPO
市民活動団体の区別
- NGO(非政府組織)
- 国際的に活動する民間団体(例:国境なき医師団・地雷除去活動など)
- NPO(非営利組織)
- 身近な地域で活動する民間団体(例:地域清掃・地域福祉活動など)
この講のおさえどころ
- 老年人口 21% 以上の社会を何という?超高齢社会(日本は約 30% で超高齢社会)
- 合計特殊出生率とは?1 人の女性が生涯に産む子どもの数の平均
- M字カーブとL字カーブの違いは?M字=労働力率/L字=正規雇用率
- ICT と IoT の違いは?ICT は一方通行/IoT は 双方向の相互通信
- AI が事実でない情報を本当のように出力する現象は?ハルシネーション
- ダイバーシティとインクルージョンの違いは?ダイバーシティ=存在/インクルージョン=活躍
- 高齢者を特別扱いせず普通の生活を送れるようにする考え方は?ノーマライゼーション
- 国際的に活動する民間団体/地域で活動する民間団体は?NGO / NPO
考えを深めるための論点
「少子高齢化+AI 化」が同時に進む日本は、これからどんな社会になっていくでしょうか?
少子高齢化で「働き手が減る」という問題に、AI 化が「機械による補完」で部分的な解を提供しつつあります。 AI が単純作業や定型業務を担うことで、人間は判断力・創造力・対人ケアを必要とする仕事に集中しやすくなります。 ただし、AI 導入には 「使いこなせる人とそうでない人」の格差(デジタルデバイド)が伴います。 高齢者向けのデジタル教育・若い世代の高度 IT 人材育成・AI 倫理の整備—— この3点が同時に進まないと、AI 化のメリットを享受できる人と取り残される人が分断していきます。 「人 × AI」の組み合わせをどう設計するかが、これからの日本の課題です。