講義動画
この講で説明できるようになるギモン
- 「家族」の定義は何か?
- 家族形態 3 タイプ(核家族・拡大家族・単独世帯)の違いは?
- 1人暮らしが増えている2つの理由は?
- 三親等内の婚姻は禁止 ── どこまでが三親等?
- 結婚できる年齢・夫婦の苗字のルールは?
- 遺産相続の基本ルールは?
あなたにとって「家族」とは?
家族には、実は 正式な定義がありません。 一緒に住んでいる人を家族と呼んでもよいし、別居している両親や、亡くなった祖父母、ペットを家族と呼んでも構いません。
公民で学ぶのは「あなたが感じている家族」ではなく、社会制度の上での家族の捉え方です。 まずは家族の形 ── 核家族・拡大家族・単独世帯 の3タイプから始めましょう。
家族形態の3タイプ
家族の形
- 核家族 親+子/夫婦のみ/夫婦+子
- 拡大家族 親戚を含む3世代以上
- 単独世帯 1人暮らし
家族形態の変化(1960年 → 2010年)
1960 年と 2010 年を比較すると、家族形態は劇的に変化しています。
- 核家族:増加
- 拡大家族:減少
- 単独世帯:増加
特に 単独世帯(1人暮らし)の増加が顕著です。理由は2つあります:
1人暮らしが増えている2つの理由
- 未婚者の増加
- 一生結婚しない人が増加。男性の約4人に1人が生涯未婚(生涯未婚率)。
- 高齢者の1人暮らし
- 平均寿命が伸びたため、配偶者に先立たれた後の1人暮らし期間が長くなった。高齢者の約5人に1人が1人暮らし。
家系図と続柄
血縁関係や婚姻関係を表す言葉を 続柄、それを図に表したものを 家系図 といいます。 契約書や生徒調査票で続柄を記入する場面は意外と多いので、しっかり押さえておきましょう。
主な続柄
- 本人
- 自分
- 父・母
- 親
- 兄・姉
- 年上のきょうだい
- 弟・妹
- 年下のきょうだい
- 子
- 自分の子ども
- 孫
- 自分の子の子ども
- 祖父・祖母
- 親の親
- おじ・おば
- 親のきょうだい
- おい・めい
- きょうだいの子ども
- いとこ
- おじ・おばの子ども
- 夫 or 妻 = 配偶者
- 結婚相手
- 義理の○○
- 結婚を通じて生じた関係(例:義理のおじ=おばの夫)
民法 ── 婚姻のルール
家族関係を規定する法律が 民法 です。中学生のうちに知っておきたい4つの論点を整理します。
民法の4論点
- 結婚できる年齢
- 男女とも 18 歳から。2022 年 4 月 1 日に成人年齢の引き下げに合わせて統一(それ以前は男 18・女 16)。法律用語では「結婚」ではなく 婚姻。
- 近親婚の禁止
- 民法 734 条:三親等内の傍系血族は婚姻できない。
=自分の子(一親等)/親(一親等)/兄弟(二親等)/祖父母・孫(二親等)/おじ・おば・おい・めい(三親等)まで結婚不可。
いとこは四親等なので法律上結婚可。 - 夫婦の苗字
- 民法 750 条:夫または妻の氏を称する。どちらかに統一すれば OK(夫の苗字でも妻の苗字でもよい)。最近は 夫婦別姓 を求める議論もある。
- 遺産相続
- 原則:遺産の 1/2 が配偶者、残り 1/2 を 子で平等に分割。
例:遺産1800万円、配偶者+子3人なら、配偶者900万・子300万×3。
親等の数え方
本人を起点に、上下の縦の線を 1段で1親等として数えます。
- 一親等:父・母/子
- 二親等:祖父母/きょうだい/孫
- 三親等:おじ・おば/おい・めい/曽祖父母/ひ孫
- 四親等:いとこ
民法では 三親等内の婚姻は不可。よって いとこ(四親等)は結婚可能です。
この講のおさえどころ
- 親+子だけの家族形態を何という?核家族
- 1人暮らしが増えている2つの理由は?未婚者の増加/高齢者の1人暮らしの増加
- 結婚できる年齢は?男女とも 18 歳(2022年4月1日〜)
- いとこは何親等? 結婚できる?四親等。法律上結婚できる。
- 夫婦の苗字に関する民法のルールは?夫または妻のどちらかの氏に統一する。
- 配偶者+子1人なら、配偶者の相続分は?1/2
- 結婚の法律用語は?婚姻
考えを深めるための論点
「夫婦別姓」を法律で認めるべきだという議論があります。賛成・反対それぞれの根拠はどんなものでしょうか?
賛成派:結婚で苗字を変える側(実態として女性が約 95%)の負担(仕事上の旧姓使用・各種手続きの煩雑さ)が大きい/生まれた時の名前を保つことは 個人の尊重 につながる/既に世界の多くの国が選択的別姓を認めている。
反対派:家族の一体感が損なわれる/子どもの姓をどうするか/伝統的な家族観の維持。
この議論のポイントは「強制別姓」ではなく「選択的夫婦別姓」—— 同姓を希望する夫婦はそのままでよく、別姓を希望する夫婦に選択肢を与える、というのが現実的な議論の中心です。
家族形態の変化は社会にどんな影響を与えているでしょうか?
核家族化と単独世帯の増加によって、かつて家族が担っていた機能(育児・介護・教育・経済的支援) を、社会全体で支える必要が高まっています。 保育サービス、介護保険制度、生涯学習機会の拡充—— こうした政策はすべて「家族だけでは支えきれない」という現実への対応です。 家族の形が変わると、社会保障制度の設計も変わらざるを得ない—— これが現代日本の課題の根底にあります。