みんな、「経済」って言葉、ニュースとかでよく聞きますよね。でも改めて「経済って何?」って聞かれると、ちょっと答えにくい。
今日は 経済の正体 と、世界の経済の 2 つの考え方——資本主義と社会主義——を、いっしょに見ていきましょう。
この講で説明できるようになるギモン
- 経済って何?経済の3主体って何?財とサービスの違いは何?
- 資本主義経済の3つの特徴って何?
- 資本主義経済と社会主義経済の違いって何?資本主義の問題点って何?
- 社会主義経済での生産手段の所有形態は?プロレタリアートって何?計画経済の問題点って何?
- アダム・スミスの著書って何?カール・マルクスの著書って何?
- キャッシュカードとクレジットカードの違いは?
経済 = 3 つの主体によるお金の循環
「経済」を一言で言うとね——「3 つの主体によるお金の奪い合い」なんです。ちょっと物騒な言い方ですが、世の中のお金は、ちゃんと 3 グループ の間をぐるぐる回っている。それを意識すると、ニュースも一気にわかるようになりますよ。
その 3 つの主体っていうのが、家計・企業・政府。 みなさんのお父さんお母さんの財布が「家計」、会社が「企業」、国や市役所が「政府」ですね。 この 3 つが、財・サービス・お金をぐるぐる回している——これが経済の正体なんですね。
先生、「財」とか「サービス」って何ですか?
お、いい質問。「財」っていうのは、目に見えて手で触れられる商品のことね。食料品・服・スマホ・自動車、ぜんぶ財です。
「サービス」は 形がない商品。電車に乗る、映画を観る、医者に診てもらう——これは全部サービス。私が今やっている「授業」もサービスなんですよ。
経済のキー要素
経済の 3 主体と 2 つの経済体制
- 家計 消費活動
- 企業 生産活動
- 政府 財政活動
- 財 形ある商品(食料品・衣服・電気製品・自動車・住宅など)
- サービス 形のない商品(交通機関・映画・観光・医療・授業など)
- 資本主義経済 私有財産制・自由競争・市場経済
- 社会主義経済 生産手段の公所有・計画経済・私的利潤の禁止
①経済の 3 主体と循環
経済というのは、財やサービスをめぐる 生産・分配・消費 の活動全体のことなんですね。 この活動の担い手が、さっき登場した 3 つの主体 です。ちょっと整理しておきましょう。
3 主体の役割
- 家計(消費活動)
- 国民一人一人。労働力を企業に提供し、給料・利子・配当をもらい、財・サービスを消費する。
- 企業(生産活動)
- 財・サービスを生産し、家計や政府に提供する。家計から労働力を、政府から公共サービスを受け取る。
- 政府(財政活動)
- 家計・企業から税金を徴収し、公共サービス・給料(公務員など)を提供する。
3 主体の間では「財・サービス」と「お金(代金・税金・給料・利子)」が循環しています。この循環全体を「経済」と呼ぶんですね。
3 主体のお金の循環(ざっくり)
- 家計(労働力提供)
- 企業(給料を払う)
- 家計(消費する)
- 企業(利益を得る)
財とサービスの違い
- 財
- 形ある商品。例:食料品・衣服・電気製品・自動車・住宅など。
- サービス
- 形のない商品。例:交通機関の輸送・映画・観光・医療・授業など。
②資本主義経済
【歴史】 産業革命のころにね、資本家(生産手段をもっている人)と 労働者(労働力を提供する人)に階級が分かれちゃったんですね。これが資本主義の出発点です。
【概要】 資本家は 生産手段(原料・機械・工場・土地)を持っていて、労働者は労働力を売る。そして 利潤の追求 を自由にしながら経済活動を行う——これが資本主義です。
資本主義経済の 3 つの特徴
- 私有財産制:生産手段の私的所有が認められる
- 自由競争:利潤の追求を自由に行える
- 市場経済:価格メカニズムを通じて資源が配分される
資本主義経済の問題点
- 景気変動:不況になると失業者が増える
- 貧富の差:自由に競争すれば、勝ち組と負け組が必ず出てくる
自由に競争するっていいことじゃないんですか?なんで問題なんですか?
うん、自由競争にはいい面がたくさんある。技術革新が進んで、いいものが安く手に入る。だから資本主義はここまで世界を豊かにしたんですね。
でもね、競争には必ず 勝ち負け がついてまわる。負けた人は仕事を失う、貧しくなる。そして勝った人は、ますますお金持ちになっていく。これが 貧富の差 です。「自由」の裏側には、こういう問題が出てくるんですね。
代表的学者
- アダム・スミス(イギリス)
- 著書:『国富論』(1776 年)。
市場で各人が自由に利益を求めれば、見えない手(神の見えざる手)が働いて、社会全体がうまく回るよ、と論じた。
③社会主義経済
【歴史】 資本主義は確かに豊かさをもたらしたけど、労働者が貧しくなりすぎた。「これは何かおかしいぞ」と批判して登場したのが 社会主義 です。
【概要】 資本家・労働者の 階級闘争 をなくして、平等な社会 を目指す——これが社会主義の核心です。
社会主義経済の 3 つの特徴
- 生産手段の公所有:土地・工場などは国や社会が所有する
- 私的利潤の禁止:利潤はすべて共有し、プロレタリアート(労働者階級)に分配する
- 計画経済:国家が生産量・価格を計画・決定する
社会主義経済の問題点
- 労働意欲の低下:稼いでも分配されてしまうから、頑張る意味が薄れる
- 計画の不完全さによる物不足:需要と供給を国が完全に予測するのは無理
平等な社会って理想的じゃないですか。なんで社会主義の国はうまくいかなかったんですか?
そうそう、理想だけ聞くと素晴らしいんですね。でも実際にやってみたらね、2 つの大きな壁にぶつかった。
ひとつは 労働意欲。「がんばっても給料が変わらない」となると、人間ってだんだんサボるんですよ。もうひとつは 計画の限界。何百万種類のモノを、国がぜんぶ計画通りに作るのは不可能だった。だから旧ソ連や東欧の社会主義国は、1990 年前後にバタバタと崩れてしまったんですね。
代表的学者
- カール・マルクス(ドイツ)
- 著書:『資本論』(1867 年)。
資本主義の構造と矛盾を分析し、「やがて労働者が立ち上がって社会主義に移行する」と主張した。
④支払い手段
経済活動っていうのは「お金のやり取り」。だから 払い方 も大事ですね。最近はキャッシュレスも増えてきたので、種類だけは整理しておきましょう。
- 現金
- 日本銀行券(1 万円・5 千円・2 千円・1 千円札)/補助貨幣(500・100・50・10・5・1 円硬貨)
- 銀行振込
- 相手の銀行口座に代金を振り込む
- 銀行引き落とし
- あらかじめ入れている口座から、決まった日に自動的に引き落とされる
- デビットカード
- 銀行口座から 即時に 代金が引き落とされる
- クレジットカード
- 銀行口座から、決まった日にまとめて 代金が引き落とされる(後払い)
- プリペイドカード
- あらかじめ入金しているカード(図書カード・クオカードなど)
- 電子マネー
- あらかじめチャージして使う電子通貨(Edy・Suica・nanaco・WAON など)
キャッシュカードとクレジットカード、ぜんぜん違うんですか?よく分かりません……。
これね、テストにもよく出るから整理しておこう。
キャッシュカード は、銀行口座のお金を「出し入れする」ためのカード。ATM に入れて使うやつね。
クレジットカード は、お店で買い物を「後払い」できるカード。お店が立て替えてくれて、あとでまとめて口座から引き落とされる仕組み——だから「信用取引」って呼ぶんです。
この講のおさえどころ
- 経済の 3 主体は?家計(消費活動)・企業(生産活動)・政府(財政活動)
- 財とサービスの違いは?財は形ある商品、サービスは形のない商品
- 資本主義経済の 3 つの特徴は?私有財産制・自由競争・市場経済
- 資本主義経済の問題点は?景気変動(失業)と貧富の差
- アダム・スミスの著書は?『国富論』(1776 年)
- 社会主義経済の特徴は?生産手段の公所有・私的利潤の禁止・計画経済
- 社会主義経済の問題点は?労働意欲の低下/計画の不完全さによる物不足
- カール・マルクスの著書は?『資本論』(1867 年)
- クレジットカードとデビットカードの違いは?クレジットは 後払い(信用取引)、デビットは 即時払い(銀行口座から即引き落とし)
考えを深めるための論点
市来公平先生からの問い:「あなたは資本主義と社会主義のどちらの経済がいいと思いますか?その理由は?」
資本主義は 自由競争によって技術革新や経済成長 をもたらした一方、貧富の差を生みます。 社会主義は平等を目指したけれど、計画経済の非効率性・労働意欲の低下 という問題に直面し、旧ソ連・東欧諸国は 1990 年前後に崩壊した。 だから今、世界の多くの国は純粋な資本主義でも社会主義でもなく、修正資本主義(市場経済を基本にしつつ、政府が社会保障や規制で不平等を是正する)を採用しているんですね。 どちらが「いい」かは、「自由と効率」を重視するか、「平等と安定」を重視するかによって変わってきます。