v2 サンプル試作版 / 経済編 22「経済」(講義臨場感バージョン:先生の語り+生徒の疑問入り)
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第 3 部 / 経済編 / v2 サンプル

経済(経済の3主体・資本主義経済・社会主義経済)経済の仕組み/資本主義と社会主義

はい、ここから第 3 部・経済編に入りますね。
みんな、「経済」って言葉、ニュースとかでよく聞きますよね。でも改めて「経済って何?」って聞かれると、ちょっと答えにくい。
今日は 経済の正体 と、世界の経済の 2 つの考え方——資本主義と社会主義——を、いっしょに見ていきましょう。

この講で説明できるようになるギモン

経済 = 3 つの主体によるお金の循環

「経済」を一言で言うとね——「3 つの主体によるお金の奪い合い」なんです。ちょっと物騒な言い方ですが、世の中のお金は、ちゃんと 3 グループ の間をぐるぐる回っている。それを意識すると、ニュースも一気にわかるようになりますよ。

その 3 つの主体っていうのが、家計企業政府。 みなさんのお父さんお母さんの財布が「家計」、会社が「企業」、国や市役所が「政府」ですね。 この 3 つが、財・サービス・お金をぐるぐる回している——これが経済の正体なんですね。

生徒

先生、「財」とか「サービス」って何ですか?

先生

お、いい質問。「」っていうのは、目に見えて手で触れられる商品のことね。食料品・服・スマホ・自動車、ぜんぶ財です。

サービス」は 形がない商品。電車に乗る、映画を観る、医者に診てもらう——これは全部サービス。私が今やっている「授業」もサービスなんですよ。

経済のキー要素

経済の 3 主体と 2 つの経済体制

  • 家計 消費活動
  • 企業 生産活動
  • 政府 財政活動
  • 形ある商品(食料品・衣服・電気製品・自動車・住宅など)
  • サービス 形のない商品(交通機関・映画・観光・医療・授業など)
  • 資本主義経済 私有財産制・自由競争・市場経済
  • 社会主義経済 生産手段の公所有・計画経済・私的利潤の禁止

経済の 3 主体と循環

経済というのは、サービスをめぐる 生産・分配・消費 の活動全体のことなんですね。 この活動の担い手が、さっき登場した 3 つの主体 です。ちょっと整理しておきましょう。

3 主体の役割

家計(消費活動)
国民一人一人。労働力を企業に提供し、給料・利子・配当をもらい、財・サービスを消費する。
企業(生産活動)
財・サービスを生産し、家計や政府に提供する。家計から労働力を、政府から公共サービスを受け取る。
政府(財政活動)
家計・企業から税金を徴収し、公共サービス・給料(公務員など)を提供する。

3 主体の間では「財・サービス」と「お金(代金・税金・給料・利子)」が循環しています。この循環全体を「経済」と呼ぶんですね。

3 主体のお金の循環(ざっくり)

  1. 家計(労働力提供)
  2. 企業(給料を払う)
  3. 家計(消費する)
  4. 企業(利益を得る)

財とサービスの違い

形ある商品。例:食料品・衣服・電気製品・自動車・住宅など。
サービス
形のない商品。例:交通機関の輸送・映画・観光・医療・授業など。

資本主義経済

【歴史】 産業革命のころにね、資本家(生産手段をもっている人)と 労働者(労働力を提供する人)に階級が分かれちゃったんですね。これが資本主義の出発点です。

【概要】 資本家は 生産手段(原料・機械・工場・土地)を持っていて、労働者は労働力を売る。そして 利潤の追求 を自由にしながら経済活動を行う——これが資本主義です。

資本主義経済の 3 つの特徴

資本主義経済の問題点

生徒

自由に競争するっていいことじゃないんですか?なんで問題なんですか?

先生

うん、自由競争にはいい面がたくさんある。技術革新が進んで、いいものが安く手に入る。だから資本主義はここまで世界を豊かにしたんですね。

でもね、競争には必ず 勝ち負け がついてまわる。負けた人は仕事を失う、貧しくなる。そして勝った人は、ますますお金持ちになっていく。これが 貧富の差 です。「自由」の裏側には、こういう問題が出てくるんですね。

代表的学者

アダム・スミス(イギリス)
著書:『国富論』(1776 年)。
市場で各人が自由に利益を求めれば、見えない手(神の見えざる手)が働いて、社会全体がうまく回るよ、と論じた。

社会主義経済

【歴史】 資本主義は確かに豊かさをもたらしたけど、労働者が貧しくなりすぎた。「これは何かおかしいぞ」と批判して登場したのが 社会主義 です。

【概要】 資本家・労働者の 階級闘争 をなくして、平等な社会 を目指す——これが社会主義の核心です。

社会主義経済の 3 つの特徴

社会主義経済の問題点

生徒

平等な社会って理想的じゃないですか。なんで社会主義の国はうまくいかなかったんですか?

先生

そうそう、理想だけ聞くと素晴らしいんですね。でも実際にやってみたらね、2 つの大きな壁にぶつかった。

ひとつは 労働意欲。「がんばっても給料が変わらない」となると、人間ってだんだんサボるんですよ。もうひとつは 計画の限界。何百万種類のモノを、国がぜんぶ計画通りに作るのは不可能だった。だから旧ソ連や東欧の社会主義国は、1990 年前後にバタバタと崩れてしまったんですね。

代表的学者

カール・マルクス(ドイツ)
著書:『資本論』(1867 年)。
資本主義の構造と矛盾を分析し、「やがて労働者が立ち上がって社会主義に移行する」と主張した。

支払い手段

経済活動っていうのは「お金のやり取り」。だから 払い方 も大事ですね。最近はキャッシュレスも増えてきたので、種類だけは整理しておきましょう。

現金
日本銀行券(1 万円・5 千円・2 千円・1 千円札)/補助貨幣(500・100・50・10・5・1 円硬貨)
銀行振込
相手の銀行口座に代金を振り込む
銀行引き落とし
あらかじめ入れている口座から、決まった日に自動的に引き落とされる
デビットカード
銀行口座から 即時に 代金が引き落とされる
クレジットカード
銀行口座から、決まった日にまとめて 代金が引き落とされる(後払い)
プリペイドカード
あらかじめ入金しているカード(図書カード・クオカードなど)
電子マネー
あらかじめチャージして使う電子通貨(Edy・Suica・nanaco・WAON など)
生徒

キャッシュカードとクレジットカード、ぜんぜん違うんですか?よく分かりません……。

先生

これね、テストにもよく出るから整理しておこう。

キャッシュカード は、銀行口座のお金を「出し入れする」ためのカード。ATM に入れて使うやつね。
クレジットカード は、お店で買い物を「後払い」できるカード。お店が立て替えてくれて、あとでまとめて口座から引き落とされる仕組み——だから「信用取引」って呼ぶんです。

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

市来公平先生からの問い:「あなたは資本主義と社会主義のどちらの経済がいいと思いますか?その理由は?」

資本主義は 自由競争によって技術革新や経済成長 をもたらした一方、貧富の差を生みます。 社会主義は平等を目指したけれど、計画経済の非効率性・労働意欲の低下 という問題に直面し、旧ソ連・東欧諸国は 1990 年前後に崩壊した。 だから今、世界の多くの国は純粋な資本主義でも社会主義でもなく、修正資本主義(市場経済を基本にしつつ、政府が社会保障や規制で不平等を是正する)を採用しているんですね。 どちらが「いい」かは、「自由と効率」を重視するか、「平等と安定」を重視するかによって変わってきます。