非公開試作版 / 経済編 33「消費者問題」(動画なし/PDFのみ)
33

第 3 部 / 経済編

消費者問題消費者の権利/消費者保護法制/悪徳商法

動画準備中

この講は動画が用意されていません。PDF原本(経済編 p.21〜22)の流れを Web 解説として再構成しています。

この講で説明できるようになるギモン

賢い消費者になるために

「このサプリを飲めば痩せます」「当選しました」「点検に来ました」——消費者は常に様々なリスクにさらされています。 1955年の森永ヒ素ミルク中毒事件から2009年の消費者庁設置まで、日本の消費者保護の歴史は「事件が起き、法律ができる」の繰り返しでした。 賢い消費者になるために、消費者を守る制度と悪徳商法の手口を学びましょう。

消費者問題のキー要素

消費者を守る制度

  • ケネディ「消費者の4つの権利」 1962年:安全・知らされる・選択・意見を聞いてもらう
  • クーリング・オフ 1972年:訪問販売などで一定期間内なら無条件で契約解除(書面で)
  • PL法(製造物責任法) 1995年:無過失責任制(欠陥が証明されれば製造者が賠償)
  • 消費者庁 2009年設置
  • 消費者ホットライン 188番

消費者問題の歴史(年表)

事件の歴史

1955年 森永ヒ素ミルク中毒事件
森永乳業の粉ミルクにヒ素が混入。133名が死亡。
1962年 サリドマイド事件
大日本製薬のサリドマイド(睡眠薬)を妊婦が服用。四肢未発達な子どもが誕生。
1968年 カネミ油症事件
カネミ倉庫製造の米ぬか油にPCB(ポリ塩化ビフェニール)が混入。1万人以上に皮膚障害や内臓障害。
1970年頃〜
マルチ商法やネズミ講などの被害が多発
2001年
BSE(牛海綿状脳症)問題発生
2002年
食品偽装表示の多発
2003年
自動車のリコール隠し発覚
2005年
耐震強度偽装問題・振り込め詐欺多発
2008年
中国製冷凍餃子事件発生

国(行政)の対応

1962年 ケネディ大統領「消費者の4つの権利」発表
  1. 安全である権利
  2. 知らされる権利
  3. 選択できる権利
  4. 意見を聞いてもらう権利
1968年 消費者保護基本法制定
高度経済成長期に発生した消費者問題に対応するために制定
1970年 国民生活センター発足
消費者からの苦情処理・商品テストなどを実施。地方公共団体が設置するのは消費生活センター
1972年 クーリング・オフ制度創設
訪問販売や電話勧誘販売などで商品を購入した場合は、一定期間内であれば無条件で契約解除できる制度。 クーリング・オフは必ず書面で行うこと。 自ら店舗に出向く場合・通信販売は適用外。
1995年 製造物責任法(PL法)施行
無過失責任制(製造者に過失がなくても、製品の欠陥が証明されれば、製造者は賠償しなければならない)
2000年 消費者契約法制定
強引な勧誘または不当な契約なら契約解除可能に
2004年 消費者基本法制定
1968年制定の消費者保護基本法を全面改正
2009年 消費者庁設置
消費者問題に迅速に対応するために設置された機関

リコール制度:商品に欠陥があった場合は、製造者が無償で修理交換をしなければならない制度

悪徳商法の種類

現代の消費者問題

悪徳商法(問題商法)の種類

商法名 特徴
マルチ商法(ネズミ講) 「儲かる」といって商品販売組織に誘い、商品を契約させる。契約者は他に売ることで利益を得る。他に売れなければその商品代は自己負担。
かたり商法(点検商法) 行政職員や電気・ガス・水道会社社員のふりをし、商品を高値で売り付ける。点検を口実に家に押しかけ、「修理が必要」などといい契約させることもある。
送り付け商法(ネガティブ・オプション) 注文もしていない商品が勝手に送り付けられ、荷物を受け取ると代金を請求される。特定商取引法に基づき、注文や契約なく一方的に送り付けられた商品については、消費者は直ちに処分することができる。
キャッチセールス 路上でアンケート調査などと称して呼び止め、喫茶店などに連れて行き、商品購入を迫る。
デート商法 電話やメール、出会い系サイトで異性に近づき、相手に好意を抱かせ、それにつけ込み契約させる。契約後は連絡が取れなくなることがほとんど。
無料商法 「無料サービス」などと言い、近づき、最終的には商品やサービスを契約させる。
当選商法 「当選しました」などと言い、消費者をだまし、クリックすると有料サイトに登録されてしまう。

消費者問題に直面したら

万一、消費者問題に直面した場合は、

  1. 「いつ、どこで、だれに、なにを、どうされたか」を記録し、証拠を保存すること
  2. 親もしくは先生・寮スタッフに必ず相談をすること
  3. 自分が住む自治体の消費生活センターに相談をすること(脅迫や暴行等があれば直ちに警察(電話番号:110)へ通報)

迷ったら、消費者庁が設置している「消費者ホットライン」(電話番号 188)に電話し、指示を仰ぐこと。

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

市来公平先生からの問い:「消費者問題が繰り返し発生するのはなぜでしょうか?また、私たちが賢い消費者になるためには、どのようなことが重要でしょうか?」

消費者問題が繰り返される背景には、 ①情報の非対称性(売り手は商品の欠点を知っているが買い手は知らない)、 ②新しい技術・サービス(インターネット、スマートフォンなど)への法整備の遅れ、 ③高齢者・子ども・外国人など「弱い立場の消費者」が狙われやすい構造などがある。 賢い消費者になるためには、「おいしい話には裏がある」という批判的思考、契約前に必ず内容を確認する習慣、困ったらすぐに相談する勇気、そして消費者ホットライン(188)の存在を知ることが重要だ。 消費者教育は公民教育の重要な柱の一つであり、中学・高校段階からの学習が不可欠とされている。