非公開試作版 / 経済編 32「環境問題」(動画なし/PDFのみ)
32

第 3 部 / 経済編

環境問題地球環境問題/国際環境会議/日本の公害問題/循環型社会

動画準備中

この講は動画が用意されていません。PDF原本(経済編 p.19〜20)の流れを Web 解説として再構成しています。

この講で説明できるようになるギモン

地球規模の問題と日本の経験

温暖化・酸性雨・オゾン層破壊・砂漠化——地球規模の環境問題は、一国だけでは解決できません。 1972年の国連人間環境会議から2015年のパリ協定まで、国際社会は協力して対策を積み重ねてきました。 また日本は、高度経済成長期に四大公害を経験し、公害対策・環境行政の先進国へと変わっていきました。

環境問題のキー要素

地球環境問題と国際的な対応

  • 地球温暖化 原因:温室効果ガス(二酸化炭素など)
  • 酸性雨 原因:NOx(窒素酸化物)・SOx(硫黄酸化物)
  • オゾン層破壊 原因:フロンガス → 有害な紫外線の増加
  • 1972年 国連人間環境会議(ストックホルム)→ 人間環境宣言
  • 1992年 地球サミット(リオデジャネイロ)→ リオ宣言・気候変動枠組条約
  • 1997年 COP3(京都)→ 京都議定書
  • 2015年 COP21(パリ)→ パリ協定(196か国・地域が参加)

地球環境問題(4種)

地球温暖化 酸性雨 オゾン層破壊 森林破壊と砂漠化
原因 温室効果ガス(二酸化炭素など) 窒素酸化物(NOx)硫黄酸化物(SOx) フロンガス 森林伐採・過放牧・過耕作・灌漑用水の過剰供給
被害 気温上昇・海面上昇・異常気象の発生 森林が枯れる・湖沼の動植物絶滅・建物や銅像が溶ける 有害な紫外線の増加・皮膚ガン・白内障・農作物への悪影響 熱帯林の減少・砂漠化
大被害地 南太平洋の島々 欧州・米国・中国 北極・南極 アフリカ・アジア・南米

国際環境会議の歴史

開催年 出来事 開催地(国) 主な内容
1972年 国連人間環境会議 ストックホルム(スウェーデン) 「かけがえのない地球」をスローガンに初めて環境問題が話し合われた。UNEP(国連環境計画)を設置。会議の成果は人間環境宣言にまとめられる。
1992年 地球サミット(国連環境開発会議) リオデジャネイロ(ブラジル) 持続可能な開発」をスローガン。会議の成果はリオ宣言。温室効果ガスを削減するために気候変動枠組条約を採択。
1997年 COP3(京都会議) 京都(日本) 先進国が温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書を採択。CO2排出大国のアメリカや中国は京都議定書には不参加。
2002年 環境開発サミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議) ヨハネスブルク(南アフリカ共和国) ほぼすべての国際連合の加盟国や多くの非政府組織(NGO)が参加。1992年の地球サミットの行動計画の見直しを実施。
2015年 COP21(パリ会議) パリ(フランス) 「パリ協定」を採択。史上初のすべての国(196か国・地域)が温室効果ガスの削減に参加する枠組みが誕生。

地球環境保護のための国際的な取り組み

1971年 ラムサール条約
水鳥の生息地として重要な湖沼や湿地を保全する条約
1972年 世界遺産条約
貴重な自然環境や歴史遺産を保全するための条約
1973年 ワシントン条約
絶滅危惧種の野生生物とその製品の国際取引を禁止する条約(絶滅危惧種はレッドリストに記載)
ナショナルトラスト運動
遺跡や景観地を買い取って保護する市民運動。イギリスが発祥。

日本の公害問題

公害の種類

典型七公害
大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動・地盤沈下・悪臭
新しい公害
アスベスト(石綿)・ダイオキシン・ハイテク汚染

※企業の生産活動から生じる公害を産業公害、都市住民の消費生活から生じる公害を都市公害という。

四大公害(1960年代・高度経済成長期)

※四大公害病裁判では、すべて原告側(被害者側)が勝訴している。

水俣病 新潟水俣病 四日市ぜんそく イタイイタイ病
地域 熊本県水俣湾周辺 新潟県阿賀野川流域 三重県四日市市 富山県神通川流域
被告 チッソ 昭和電工 昭和四日市石油など 三井金属鉱業
原因 メチル水銀による水質汚濁 メチル水銀による水質汚濁 亜硫酸ガスによる大気汚染 カドミウムによる水質汚濁

公害の歴史

1890年 足尾銅山鉱毒事件(渡良瀬川流域)——日本で最初の公害。 栃木県選出の衆議院議員・田中正造が議員辞職して天皇に直訴。

公害防止行政の変遷

1967年 公害対策基本法
→ 1993年 環境基本法 へ改正
1971年 環境庁設置
→ 2001年 環境省 へ昇格
1997年 環境影響評価法(環境アセスメント法)
大規模開発事業の環境への影響を事前に調査・評価させることを定めた法律

循環型社会

2000年 循環型社会形成推進基本法制定
日本における循環型社会の形成を推進する基本的な枠組みとなる法律。廃棄物・リサイクル政策の基盤整備が進んだ。

3R・4R・5R

3R
リデュース(抑制)リユース(再使用)リサイクル(再生利用)
4R
リデュース・リユース・リサイクル・リフューズ(断る)
5R
リデュース・リユース・リサイクル・リフューズ・リペア(修繕)

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

市来公平先生からの問い:「国際社会は『環境保護』と『経済発展』、どちらを優先すべきだと思いますか?その理由は?」

先進国は過去に経済発展を優先して環境を破壊してきた歴史がある。一方、発展途上国は「今から経済成長できないのか」という不満を持つ。 「持続可能な開発(Sustainable Development)」という考え方は「環境を守りながら経済も発展する」という第三の道を示しているが、具体的な方法は難しい。 日本でも高度経済成長期に四大公害を経験し、その後の公害対策・環境技術開発を通じて「環境と経済の両立」を模索してきた。 SDGs(持続可能な開発目標)もこの問いへの国際的な答えの一つと言える。 どちらを優先するかではなく、「どうすれば両立できるか」を考えることが重要だ。