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この講は動画が用意されていません。PDF原本(経済編 p.12)の流れを Web 解説として再構成しています。
この講で説明できるようになるギモン
- 財政って何?直接税と間接税の違いは?直接税と間接税にはそれぞれどんなものがある?
- 累進課税って何?逆進性って何?2024年度の日本の歳入で一番多いのは何?
- 建設国債って何?特例国債って何?国債が世代間の不公平を生むのはなぜ?
- 日本の防衛費のGDP比1%ルールって何?日本の歳出で一番多い項目は何?
財政とは何か
国や地方公共団体がどのようにお金を集め、何に使うか——これが「財政」の仕組みです。 税収と国債によって資金を調達し、社会保障・公共事業・教育などに支出する。 日本の国家予算は約100兆円(一般会計)。その中身を知ることで、「大きな政府か小さな政府か」という経済編を貫く大問いが見えてきます。
財政のキー要素
財政=国・地方の経済活動
- 財政 国や地方公共団体の経済活動(税収や公債発行で調達→公的支出)
- 国家財政 国の経済活動
- 地方財政 地方公共団体の財政
- 一般会計予算 約100兆円(日本の年間概算)
- 歳出最大項目 社会保障費(約35兆円・約35%)
- 歳入最大項目(2022年以降) 消費税(消費税10%導入で歳入1位に)
財政とは
財政とは、国や地方公共団体の経済活動(税収や公債発行により資金を調達し、公的目的に支出する)こと。 国が集めたお金(税金や国債発行)を使って、国民の生活を良くしていく(社会保障や公共サービスの実施など)ことを指します。
国の経済活動を国家財政、地方公共団体の財政を地方財政という。
予算について
一般会計予算案は内閣が作り、衆議院→参議院の順で議決される(衆議院の優越が適用される)。
国家予算の3種類
- 一般会計予算
- 基本的な予算。約100兆円(日本の年間の概算)
- 特別会計予算
- 年金などの支払い。約250兆円(日本の年間概算、重複分含む)
- 政府関係機関予算
- 特殊法人などへ配分する予算
一般会計予算の内訳
本予算・補正予算・暫定予算からなる。
- 歳出(支出)の主な内訳
-
- 社会保障費 約35兆円(約35%)
- 国債費 約23兆円(約23%)
- 地方交付税 約15兆円(約15%)
- 公共事業 約7%
- 防衛費 約5兆円(約5%)
- 文教科学費
- 歳入(収入)の主な内訳
-
- 所得税 約19兆円(約19%)
- 法人税 約12兆円(約12%)
- 消費税 約21兆円(約21%)
- 公債金 約32兆円(国債依存度=約32%)
税金(直接税と間接税)
直接税
- 定義
- 税負担者と納税者が同じ。垂直的公平な税。累進課税が適用される。
- 種類
- 所得税・法人税・相続税
- 最高税率(2015年より)
- 所得税45%・相続税55%
- 税制の型
- 日本やアメリカは直接税中心型
- 直間比率(2019年度)
- 直間比率は 67:33(直接税67:間接税33)
間接税
- 定義
- 税負担者と納税者が異なる。水平的公平な税。逆進性が見られる。
- 種類
- 消費税・酒税・たばこ税・揮発油税など(消費税には軽減税率〔新聞や飲食料品など〕が適用されている)
- 税制の型
- ヨーロッパ各国は間接税中心型
- 歳入1位(2022年度)
- 消費税(消費税10%になり、初めて消費税が歳入1位となった)
国債
国債:国が発行する借金の証書。
国債の種類
- 建設国債
- 財政法上OK。東京五輪不況などにより毎年発行。
- 特例国債
- 財政法上発行NGのため特例法を制定して発行。石油危機後より発行。赤字国債ともいう。
- 日本の国債残高は約1000兆円(2021年)
- 国債の発行は、将来世代に返済をさせることにつながるため、世代間の公平を損なっているという声がある
- 復興債(東日本大震災のため)も発行されている
防衛費
防衛費のGDP比1%以内ルール
- 1%ルール
- 防衛費には「GDP比1%以内」というルールがある。歳出(約100兆円)比で見ると5%だが、GDP(約550兆円)比では1%にあたる。
- 2022年の方針変更
- 岸田首相は、防衛費を2027年度にGDP比2%に増額するよう指示した。
この講のおさえどころ
- 財政とは何か?国や地方公共団体が税収や公債発行により資金を調達し、公的目的に支出する経済活動
- 国家予算の3種類は?一般会計予算・特別会計予算・政府関係機関予算
- 歳出で最も多い費目は?社会保障費(約35%)
- 直接税と間接税の違いは?直接税は税負担者と納税者が同じ、間接税は異なる
- 累進課税とは?所得が多くなるほど税率が高くなる制度
- 逆進性とは?所得が低いほど税負担割合が大きくなる性質(間接税の問題点)
- 建設国債と特例国債の違いは?建設国債は財政法上OK、特例国債は財政法上NGのため特例法が必要(赤字国債)
- 国債が世代間の不公平を生む理由は?現在の借金を将来世代が返済しなければならないから
考えを深めるための論点
市来公平先生からの問い:「これからの日本は国債発行を増やすべきでしょうか、減らすべきでしょうか?その理由は?」
国債発行を増やすことは、社会保障・公共投資・防衛費などの財源確保に役立ち、景気対策にもなる。 しかし日本の国債残高はすでに約1000兆円(GDP比約200%)と世界最高水準であり、これは将来世代への負担転嫁という問題をはらんでいる。 一方、急激な財政再建(国債削減・増税・支出削減)は経済収縮・デフレを引き起こす危険もある。 市来公平先生が注目する視点は「世代間の公平」——今の世代が受益し、将来世代が返済するという不公平をどう解決するか。 一概に「増やすべき」「減らすべき」とは言えず、経済状況・財政規律・国民の合意形成が重要になる。