非公開試作版 / 経済編 27「経済政策」(動画なし/PDFのみ)
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第 3 部 / 経済編

経済政策景気変動・財政政策・金融政策

動画準備中

この講は動画が用意されていません。PDF原本(経済編 p.13)の流れを Web 解説として再構成しています。

この講で説明できるようになるギモン

景気を「操作」する2つの手段

好況・後退・不況・回復——経済は常に波打って動いています。この「景気の波」を和らげ、国民生活を安定させるために、政府と日本銀行が協力して経済政策を行います。 財政政策(政府)と金融政策(日本銀行)の2つの手段を同時に行うことをポリシー・ミックスといいます。

経済政策のキー要素

景気を安定させる2本柱

  • 景気変動 好況→後退→不況→回復の4局面が周期的に繰り返される
  • 財政政策 政府が行う景気調整
  • 金融政策 日本銀行が行う景気調整
  • ポリシー・ミックス 財政政策と金融政策を同時に行う経済政策
  • 基本原則 好景気→世の中のお金を回収 不景気→世の中へお金を放出

景気変動(景気循環)

経済活動が活発になったり低迷したりするのを繰り返すこと。資本主義社会では「好況・後退・不況・回復」の4つの局面が周期的に現れるとされている。

4つの局面

好況
企業は生産と投資を拡大。経済活動が最も活発な状態。
後退
生産過剰で在庫増加。経済活動が縮小していく時期。
不況
企業の倒産・失業が最高水準に。経済活動が停滞する時期。
回復
在庫が減り始める。経済活動が活気を取り戻す時期。

※好況局面で突如発生する深刻な景気後退を恐慌という。

景気調整の基本的な考え方

好景気のとき
世の中のお金を回収する(通貨量を抑制)
不景気のとき
世の中へお金を放出する(通貨量を増大)

財政政策(政府が行う景気調整)

財政政策と金融政策を同時に行う経済政策をポリシー・ミックスという。

ビルト・イン・スタビライザー(景気の自動安定化装置)

ビルト・イン・スタビライザー:累進課税と社会保険を活用した自動的な景気調節。

好景気では
累進課税での収入が増え、社会保障の実施が減少することにより、市中の通貨量が抑制される
不景気では
累進課税での収入が減り、社会保障の実施が増加することにより、市中の通貨量が増大していく

所得の再分配:市場経済により生まれた所得格差を是正するために、累進課税制度や社会保険制度を実施し、低所得者に還元すること。

フィスカル・ポリシー(伸縮的財政政策)

フィスカル・ポリシー:政府による意図的な景気調節。ケインズが提唱した修正資本主義の考えに基づく。

好景気では
増税をし、公共事業を減らすことにより、世の中に回る通貨量を抑制させる
不景気では
減税をし、公共事業を増やすことにより、世の中に回る通貨量を増大させる

金融政策(日本銀行が行う景気調整)

日本銀行には「唯一の発券銀行政府の銀行銀行の銀行」という3つの役割がある。

公開市場操作(日銀が国債を売買することで通貨量を調整する)

好景気では
売りオペレーション(市中銀行に国債を売る)により、世の中に出回る通貨量を抑制させる
不景気では
買いオペレーション(市中銀行から国債を買う)により、世の中に出回る通貨量を増大させる

預金準備率操作(日銀が預金準備率を上下させることで通貨量を調整する)

預金準備率:銀行が顧客に預金から必ず確保しなければならないお金の割合

好景気では
預金準備率を上げ、一般銀行が貸し出しにくくし、世の中に出回る通貨量を抑制させる
不景気では
預金準備率を下げ、一般銀行が貸し出しやすくし、世の中に出回る通貨量を増大させる

まとめ(好況時・不況時の比較)

好景気(好況期) 不景気(不況期)
政府(財政政策) 増税・公共事業減・社会保障減 減税・公共事業増・社会保障増
日銀(金融政策) 売りオペ・預金準備率上昇→金融引締政策(通貨量抑制) 買いオペ・預金準備率引下げ→金融緩和政策(通貨量増大)

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

市来公平先生からの問い:「不景気のとき、政府は公共事業(道路・橋の建設など)を行うべきでしょうか?それとも、民間の自由に任せるべきでしょうか?」

ケインズが提唱した修正資本主義では「不景気のとき、市場の失敗を補うために政府が積極的に公共投資を行うべきだ」と主張した。 実際、アメリカのニューディール政策(1930年代)、日本の公共事業主導の景気対策は一定の効果を上げた。 一方、「政府が市場に介入しすぎると非効率が生まれる」(小さな政府の主張)という意見もある。 これは経済編全体を貫く「大きな政府か小さな政府か」という根本的な問いでもある。 どちらが正しいかではなく、経済状況・財政状況を踏まえた判断が求められる。