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この講は動画が用意されていません。PDF原本(経済編 p.8〜10)の流れを Web 解説として再構成しています。
この講で説明できるようになるギモン
- 市場経済って何?需要量って何?供給量って何?均衡価格って何?
- アダム・スミスの「見えざる手」って何?
- 高いと需要が増え、高いと供給が増えるのはなぜ?
- 需要が増えると価格が上がるのはなぜ?寡占って何?独占って何?
- 価格や生産量を協定する独占(カルテル)って何?企業の合併による独占(トラスト)って何?
- 独占禁止法はいつできたの?独占禁止法をチェックする機関って何?
- 価格の下方硬直性って何?デザインや広告での競争を何(非価格競争)という?スケールメリットって何?
価格はどうやって決まる? ── 市場の「見えざる手」
私たちが日々買い物をするとき、価格はどうやって決まっているのでしょうか。 市場経済では、「見えざる手」と呼ばれる価格メカニズムが働き、需要(買い手)と供給(売り手)のバランスによって価格が自然に決まります。 ただし、市場が常に正しく機能するとは限りません。独占や寡占が起きると、市場の失敗が発生します。
市場経済のキー要素
需要・供給・市場の失敗
- 需要量 買い手が買おうとする量(価格が高い→少ない)
- 供給量 売り手が売ろうとする量(価格が高い→多い)
- 均衡価格 需要量と供給量が一致した価格
- 見えざる手 市場の価格メカニズムの働き(アダム・スミスの概念)
- 市場の失敗 独占・寡占・公共財
需要と供給の仕組み
基本用語
- 需要量
- 買い手(消費者)が商品を買おうとする量。価格が高いほど少ない、価格が低いほど多い(右下がりの需要曲線)。
- 供給量
- 売り手(生産者・販売者)が商品を売ろうとする量。価格が高いほど多い、価格が低いほど少ない(右上がりの供給曲線)。
- 市場
- 売り手(供給)と買い手(需要)の関係で価格が決まり、財・サービスが取引される場所。
- 市場価格
- 市場を通じて決められている価格。
均衡価格
需要量と供給量が一致した価格を均衡価格という。
- 価格が高すぎる → 供給過剰(売れ残り発生)→ 店側は価格を下げざるを得ない
- 価格が低すぎる → 供給不足(品不足発生)→ 店側は価格を上げることができる
- 均衡価格:需要と供給がちょうど一致する価格 → この価格で販売を行う
「見えざる手」
店はできるだけ高く売りたい、客はできるだけ安く買いたい。でも価格は自然と落ち着く。 この状況をアダム・スミスは「見えざる手」と呼んだ。 市場経済では、価格の働きによって、生産資源が無駄なく効率的に利用されている。
需要・供給の変化と価格
- 需要だけが増加 → 価格は上がる(需要曲線が右に移動)
- 需要だけが減少 → 価格は下がる(需要曲線が左に移動)
- 供給だけが増加 → 価格は下がる(供給曲線が右に移動)
- 供給だけが減少 → 価格は上がる(供給曲線が左に移動)
市場の失敗(独占と寡占)
市場に何らかの問題が発生し、正常に機能しなくなることを市場の失敗という。
1. 独占
他にライバルが存在しない状態。その市場に1社しかいない状態。
独占の3形態:
- カルテル
- 同業者間で、価格や生産量について協定を結ぶこと(価格カルテルなど)
- トラスト
- 同一業種企業の合併。全面禁止。だから、ビックカメラとコジマ電気の合併はOK(異業種なので)
- コンツェルン
- 持株会社(親会社)が子会社の株式を半数所有し経営を支配する形態
独占禁止法
- 制定
- 1947年(財閥解体の総仕上げとして)
- 1997年改正
- カルテル禁止、トラストは制限(適度なトラストはOK)、コンツェルン(持株会社)はOK。独占はNG・寡占はOK。
- 運用機関
- 公正取引委員会(独禁法の番人)
2. 寡占
市場が少数の大企業によって支配されている状態(マーケットシェアが大手4社で40%以上)。
- 例:ビール・携帯電話キャリア・自動車・宅配便・清涼飲料・家庭用ゲーム機・ピアノ・便器など
- 寡占市場では管理価格(全社が価格を相談し、高めに設定)が見られる
- 価格の下方硬直性:寡占市場では、値下げ競争が起こりにくく、需要(客)が減っても価格が下がりにくい
- 寡占企業は価格競争ではなく、デザインや広告を工夫する非価格競争を実施
- スケールメリット(規模の経済):生産規模を大きくするほど、生産コストを安く抑えられる
3. 公共財
国民の生活に大きな影響を与える料金は、市場を通さず、国や地方が決める。
- 例:電気料金・水道料金・鉄道運賃・郵便料金など
この講のおさえどころ
- 市場経済において、価格が高いと需要はどうなる?減る(価格が高いと買いたい人は少ない)
- 価格が高いと供給はどうなる?増える(価格が高いと売りたい人が増える)
- 需要量と供給量が一致した価格を何という?均衡価格
- アダム・スミスが提唱した「市場の自然な調整機能」を何と呼ぶ?見えざる手
- 独占の3形態は?カルテル(価格協定)・トラスト(合併)・コンツェルン(持株会社)
- 独占禁止法を運用する機関は?公正取引委員会
- 寡占市場で起こる「値下げが起こりにくい現象」を何という?価格の下方硬直性
- 国や地方が料金を決める財を何という?公共財(例:電気・水道・鉄道・郵便)
考えを深めるための論点
市来公平先生からの問い:「携帯電話キャリアのように市場が寡占状態になっている場合、消費者はどのような不利益を受けるでしょうか?また、その対策としてどのようなことが考えられるでしょうか?」
寡占市場では価格の下方硬直性が働くため、競争が少なく料金が高止まりしやすい。 また管理価格(業界全体で価格を合わせる)が形成されることもある。 対策としては、独占禁止法の厳格な運用、新規参入を促す規制緩和、格安SIM(MVNO)など新規事業者の育成などがある。 政府が公正取引委員会を通じてモニタリングし、価格引き下げ命令を出すことも一つの手段である。 市場の失敗に対して政府が介入することで、消費者の利益を守ることが現代の経済政策の重要な柱の一つとなっている。