非公開試作版 / 政治編 20「紛争」
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第 2 部 / 政治編

紛争戦争と内戦/パレスチナ/カシミール/湾岸戦争/冷戦

講義動画

出典:市来公平 先生/TR-002「紛争」(19:47)

この講で説明できるようになるギモン

紛争 = 武力衝突

紛争(正式には 武力紛争)とは、考えの違う者どうしが武力で衝突することです。

戦争と内戦をまとめて武力紛争=紛争と呼びます。

紛争の4つの原因

主要な対立軸

  • 政治的対立 資源・体制の違い
  • 文化的対立 考え方の違い
  • 民族対立 民族の違い
  • 宗教的対立 宗教の違い

宗教的対立 ── パレスチナ問題

パレスチナ問題は、ユダヤ教(ユダヤ人)vs イスラム教(アラブ人)の対立です。 対立を複雑にしているのは、それぞれの背後に異なる国々がついていることです。

対立の構図

イスラエル(ユダヤ教)
支援:アメリカ・イギリスなど キリスト教の国
※キリスト教はユダヤ教から派生しており、旧約聖書を共有する関係。
パレスチナ(イスラム教)
支援:サウジアラビアなど 中東イスラム教の国

歴史をたどると、もともとユダヤ人が住んでいたこの地はイスラム教国家が支配する時期もあり、ユダヤ人は世界に離散していました。 第二次世界大戦後にイギリスの「二枚舌外交」(ユダヤ・イスラム双方に国を約束)の結果、イスラエルだけが建国され、現在の対立構造ができました。

エルサレムユダヤ教・キリスト教・イスラム教の3つの聖地が重なる都市。誰が管理するかをめぐる対立も続いています。 パレスチナ地域では 第一次〜第四次中東戦争が起き、特に 第四次中東戦争(1973)は日本のオイルショックの原因にもなりました。 現在もガザ地区での衝突が続き、「第五次中東戦争」と呼ぶ見方もあります。

民族・宗教的対立 ── カシミール紛争

カシミール紛争は、インド vs パキスタンがカシミール地方の領有をめぐって対立する紛争です。 もとは1947年までは一つの「インド」でしたが、第二次世界大戦後にヒンドゥー教中心のインドと、イスラム教中心のパキスタンに分離独立しました。

カシミール地方は 王がヒンドゥー教徒・住民の多数がイスラム教徒という構造のため、両国とも領有を主張しています。 さらに北側で中国とも国境を接するため、複雑な三つ巴の対立に発展しています。

インド・パキスタンは NPT(核拡散防止条約)に 加盟していないため、両国とも核兵器を保有しています。

政治的対立 ── 湾岸戦争とイラク戦争

2 つの戦争

湾岸戦争(1991)
イラクがクウェートに侵攻したことが発端(石油の掘り方をめぐる対立)。アメリカ中心の多国籍軍がイラクを攻撃し、クウェートを解放した。この時、日本が金銭支援のみで批判され、後の PKO 参加につながった
イラク戦争(2003)
9.11 同時多発テロ後、イラクの国営放送が「アメリカへの天罰」と発言したことが引き金。アメリカ主導の連合軍がイラクを攻撃した。

冷戦 ── 資本主義 vs 社会主義

冷戦1945 年のヤルタ会談から始まり、1989 年のマルタ会談で終結した、アメリカ(資本主義/西側)vs ソ連(社会主義/東側)の対立構造です。 米ソが直接戦火を交えなかった(=「冷たい戦争」)ためにこの名で呼ばれます。

ただし完全に無風だったわけではなく、朝鮮戦争(1950)/ベトナム戦争のように、それぞれの陣営が代理で戦った 代理戦争はありました。

冷戦終結の直前に結ばれた INF 全廃条約(中距離核戦力全廃条約)は、米ソが「にらみ合いをやめる」決定的な条約で、冷戦を終わらせる大きなきっかけとなりました。

新冷戦 ── ロシアのウクライナ侵攻

冷戦は一応終わったとされていますが、現代も アメリカ側 vs ロシア側の対立構造は色濃く残っています。 2022 年のロシアのウクライナ侵攻はその象徴で、「新冷戦」とも呼ばれます。

ロシアとウクライナはもともと同じソ連邦の構成国で、民族・宗教も近い「兄弟国」のような関係でした。 しかしウクライナがロシア寄りから西側(EU・NATO)寄りに傾いていったことが、ロシアにとって「裏切り」と映り、侵攻に至ったと分析されています。

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

パレスチナ問題のような「歴史的・宗教的に根深い対立」は、外部からの介入で解決可能でしょうか?

歴史を振り返ると、外部介入は むしろ対立を悪化させたケースが多くあります(イギリスの二枚舌外交はその典型)。 一方、当事者だけに任せても解決は難しく、第三者の仲介(国連・周辺国・宗教指導者)は必要です。 重要なのは 「短期的な決着」より「長期的な共存」を目指すこと。 宗教対立は数百年〜千年単位の歴史を持つため、政治家の任期や選挙サイクルとは時間軸が違う、という前提でゆっくり進める覚悟が必要です。