非公開試作版 / 政治編 21「軍縮」(解説書籍版プロトタイプ)

第 2 部 / 政治編

軍縮 PTBT・NPT・CTBT/核兵器禁止条約/米ソ間の軍縮

講義動画

出典:市来公平 先生/プレイリスト上のタイトル「軍縮」(4:56)/TR-003

この講で説明できるようになるギモン

なぜ「軍縮」が難しいのか

世界は紛争をやめたいと考えています。そのために提案されてきたのが 軍縮—— 持っている武器や軍事力を減らしていこう、という考え方です。

ただし、片方の国だけが武器を捨ててしまうと、相手国にとっては「無防備な相手をいま倒せばよい」という状態になり、かえって攻撃を招きかねません。 そのため軍縮では お互いが約束を交わして、同じ数だけ減らしていく 必要があります。これが軍縮の基本ルールです。

軍縮は大きく3つに整理できます。
核兵器に関する世界の軍縮 ②米ソ(米露)間の軍縮 ③その他の軍縮

3つの軍縮カテゴリ

軍縮

  • 世界の核軍縮 PTBT → NPT → CTBT → 核兵器禁止条約
  • 米ソ(米露)軍縮 SALT → INF全廃条約 → START
  • その他 対人地雷全面禁止条約/クラスター爆弾禁止条約

米ソ間の軍縮 ── SALT → INF → START

核ミサイルは「先端の核弾頭」と「運搬手段(ミサイル本体)」の組み合わせで成り立っています。これを段階的に減らす取り組みが米ソ間で進められました。

米ソ(米露)軍縮の流れ

SALT(戦略兵器制限交渉)
運搬手段(ミサイル本体)の数を制限。いきなり全てなくすのは難しいので「運ぶ仕組み」から先に減らす。
INF 全廃条約
中距離核戦力の全廃。米ソ間の最短距離(北極圏経由で約 5,500km)を攻撃できるミサイルをなくす。冷戦終結のきっかけとなった条約。
START(戦略兵器削減条約)
運搬手段が減ったあと、残った核弾頭そのものを削減する。

世界の核軍縮 ── PTBT / NPT / CTBT / 核兵器禁止条約

核実験を制限する条約の系譜

PTBT(部分的核実験禁止条約)
地下実験は OK、それ以外(大気圏・水中・宇宙)の核実験を禁止。P(Partial)=一部
NPT(核拡散防止条約)
安全保障理事会の 5大国(アメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリス)以外は核兵器を持てない、と定めた条約。無期限延長が決定済み。
CTBT(包括的核実験禁止条約)
あらゆる場所での核実験を禁止。C(Comprehensive)=包括。ただし参加国が少なく、未だに発効していない
核兵器禁止条約
核兵器そのものの保有・使用を禁止。日本は唯一の被爆国でありながら批准していない。理由は「核の傘」—— アメリカの核戦力に守られている立場との両立が難しいため。

NPT に参加していない国(北朝鮮・イスラエル・インド・パキスタンなど)は、条約の枠外で核兵器を保有しています。 この「条約はあるが守らない国がある」状態が、核軍縮の最大の難所です。

その他の軍縮

いずれも、戦闘終了後も民間人に被害をもたらし続ける兵器を世界規模で禁じる動きです。

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

日本が「唯一の被爆国」でありながら核兵器禁止条約に批准していないことを、どう評価しますか?

被爆体験を持つ国として、核廃絶のリーダーシップをとるべきだという立場からは批判が出ます。 一方、現実には日米同盟と「核の傘」の下で安全保障が成り立っているという見方もあり、ここを離れると別の安全保障コストが発生します。 重要なのは、「批准する/しない」という二択ではなく、批准しない代わりに何をするか という具体的な代替案を考えることです。 例えば「核軍縮プロセスへの仲介役」「被爆体験の継承」など、被爆国だからこそ担える役割があり得ます。