非公開試作版 / 政治編 16「行政機関」
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第 2 部 / 政治編

行政機関1府14省庁/行政委員会/官僚/行政改革

講義動画

動画ファイル提供待ち

出典:市来公平 先生/TR-017「行政機関」(9:50)

数値の補注

PDF 原本は「1府12省庁」、動画解説は「1府14省庁」と表記しています。本ページでは新しい時点情報の「1府14省庁」を採用(復興庁・消費者庁・デジタル庁の追加を反映)。 市来先生に最終表記を確認予定。

この講で説明できるようになるギモン

行政 = 内閣(脳)+行政機関(手足)

行政は 内閣(指令を出す中核)+行政機関(実際に動く) でできています。 ニュースで「永田町 では…」と言えば 国会議事堂周辺=立法の話、 「霞ヶ関 では…」と言えば 各省庁=行政の話を意味します。

1府14省庁の全体像

主要な省庁の役割

  • 内閣府 宮内庁・公正取引委員会・金融庁・消費者庁
  • 国土交通省 道路・河川・気象庁・観光庁
  • 経済産業省 特許庁・資源エネルギー庁
  • 厚生労働省 年金・医療・労働・保育園
  • 文部科学省 幼稚園・小中高大・スポーツ庁
  • 総務省 郵便・消防・選挙・放送・国勢調査
  • 国家公安委員会 警察関係

省庁の担当を整理

混乱しやすいポイント:

行政委員会 ── 法律と同等の命令を出せる

省庁の中には 行政委員会 という特別な肩書きを持つ機関があります。 これらは 独自に出した決定が法律と同等の効力を持ちます。

主な行政委員会

国家公安委員会
警察を統括。例:「この道は通行止め」という決定が法律同等の効力を持つ。
公正取引委員会
独占禁止法の運用。
人事院
国家公務員の人事を統括。
公害等調整委員会
公害紛争の調整。
中央労働委員会
労使紛争の調整。
原子力規制委員会
原発の安全規制。

官僚制 ── 公務員の中の「エリート」

公務員のうち、地方公務員(県庁・市役所など)と 国家公務員(各省庁)の中で、特に 国家公務員の上級職エリート官僚 と呼びます。

表向きの序列は「国務大臣 → 副大臣 → 政務官 → 事務次官(官僚のトップ)」ですが、 実務知識では 事務次官の方が大臣より詳しいことが多く、結果として政策が官僚主導で動くことを 官僚制 と呼びます。

官僚制の弊害

官僚作成法案の増加
官僚に有利な法律が作られやすい構造。
許認可権の集中
新しい事業に省庁の許可が必要な仕組みが残ると、許可を巡って利権が生まれる。天下り(官僚 OB が民間企業に就職)した企業ほど許可を得やすい、といった問題が起こる。

行政改革 ── 規制緩和と民営化

官僚制の弊害を抑えるために、行政改革が進められてきました。 代表的な手法は次の 2 つです。

2つの行政改革

規制緩和
許認可が必要だった事業を自由化する。例:電力自由化(楽天電気・ソフトバンク電気など)。
民営化
国営事業を民間企業に転換する。
昭和の民営化 3 つ:電電公社 → NTT/専売公社 → JT/国鉄 → JR(中曽根内閣)
平成の民営化 2 つ:郵政民営化(小泉内閣)/日本道路公団 → NEXCO 各社

民営化のメリットは 国の財政負担減・サービス向上。 デメリットは 過疎地のサービス維持が難しくなる(路線廃止・郵便局の撤退)・料金値上げ(年賀はがき値上げなど)。

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

民営化はメリットもデメリットもある政策です。「地方の郵便局・JR ローカル線」を維持するために、民営化された企業に国が補助を出すべきでしょうか?

賛成の立場は 「過疎地の住民の生活インフラを守ることは国の役割」という観点です。 反対の立場は 「民営化したのだから市場原理に任せるべき」「税金で補助すれば民営化の意味がない」という観点です。 実際の制度では、JR の不採算路線維持のための財政支援や、過疎地の郵便局を維持するための義務付け(ユニバーサルサービス)が一部で行われています。 「完全民営化」と「政府関与」のバランスをどう取るかが、現代の行政改革の論点です。