非公開試作版 / 政治編 10「基本的人権(概略編)」
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第 2 部 / 政治編 / 日本国憲法 第3章

基本的人権概略編:6 種類の権利と「公共の福祉」

講義動画

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出典:市来公平 先生/TR-010「基本的人権ー概略編ー」(2:55)

この講について

この講で説明できるようになるギモン

基本的人権は「侵すことのできない永久の権利」

日本国憲法 第 11 条 は、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と定めています。 つまり、ある人の基本的人権を他人が邪魔したり、国が制限したりすることは原則できません。

基本的人権の6種類

6 種類の権利

  • 平等権 差別されない
  • 自由権 精神・身体・経済
  • 社会権 生存権・教育・労働
  • 参政権 政治に参加する権利
  • 請求権 国に請求する権利
  • 新しい人権 条文外・社会の変化に対応

「新しい人権」だけ性格が違う

平等権・自由権・社会権・参政権・請求権の 5 つは 憲法に明記されています。 これに対し 新しい人権 は、日本国憲法には「新しい人権」という文言で書かれていません。

では何かというと、社会の変化のなかで「これも人権として認めるべきでは?」と裁判や議論を通じて確立してきた権利の総称です。 プライバシー権/知る権利/環境権/自己決定権などが代表例で、いずれも憲法の他の条文(特に第 13 条「個人の尊重・幸福追求権」)を根拠に考えられています。

権利と権利がぶつかったとき ── 公共の福祉

基本的人権は永久不可侵—— とはいえ、現実には 「ある人の権利」と「別の人の権利」がぶつかる場面が起こります。 たとえば週刊誌の記者が他人のプライバシー(住所・家族構成 など)を本に書いて出版した場合:

ここで登場するのが憲法 第 12 条公共の福祉」です。 公共の福祉とは 「どちらの権利を優先したほうが社会全体のためになるか」で調整する考え方。 上の例ではプライバシー権が優先される、というのが一般的な解釈です。

※ 公共の福祉は人権を 否定する仕組みではなく、調整する仕組みです。大日本帝国憲法時代の「法律の留保」(→ 講07)とは決定的に違います。

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

「新しい人権」は時代とともに増えています。これからの社会で生まれそうな「新しい人権」を一つ挙げて、その必要性を説明してみましょう。

候補としては 「忘れられる権利」(インターネット上の自分に関する情報を削除させる権利)や、 「データ自己決定権」(自分の個人データの利用範囲を自分で決める権利)が議論されています。 AI による情報処理が拡大している今、これらの権利は「自由権の延長」として整理されていく可能性が高いです。 新しい人権を考える際のコツは 「既存の権利の延長で説明できるか」「侵害された場合に取り返しがつかないか」の 2 点です。