非公開試作版 / 経済編 29「労働問題」(動画URL準備中)
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第 3 部 / 経済編 / 経済編 p.15 / TR-018

労働問題労働三権/労働三法/雇用の現状

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この講で説明できるようになるギモン

「働く権利」は憲法が保障している

「働く」ことは生きることと直結しています。しかし、使用者(会社の経営者)と労働者の間には、もともと大きな力の差があります。この不均衡を是正するため、日本国憲法は全ての労働者に労働基本権を保障し、三つの法律(労働三法)で具体的な保護を実現しています。

市来公平先生の言葉:「日本国憲法が認めているということは、外国人労働者であっても、正規雇用であろうが非正規であろうが、この労働の権利や法律は適用される。」

労働問題のキー要素

労働三権・三法・雇用の現状

  • 労働三権 団結権(労組結成)・団体交渉権(使用者と話し合い)・団体行動権=争議権(ストライキ)
  • ストライキ 労働者側の争議手段。刑事上・民事上の免責あり
  • ロックアウト 使用者側の対抗手段(作業所を閉鎖)
  • 公務員 ストライキ禁止(全体の奉仕者)
  • 労働基準法 1日8時間・週40時間以内

労働基本権(労働権・労働三権)

世の中的には使用者(経営者)の方が立場が強く、労働者は立場が弱い。この不均衡を是正するため、日本国憲法が権利と法律を整備している。

労働権(日本国憲法第27条):働く権利
労働三権(日本国憲法第28条):

権利名 内容
団結権 労働組合への加入・結成OK
団体交渉権 労働組合として使用者と話し合いができる(使用者は拒否できない)
団体行動権(争議権) 労働組合の権利をめぐって戦う権利。ストライキ(労務の提供拒否)が代表例

ストライキ(争議権行使)について

刑事上・民事上の免責
正当なストライキに対して、損害賠償請求や逮捕は認められない。ただし、ストライキ中であっても「人を殴る」などの不法行為は当然罰せられる。

ロックアウト(使用者側の対抗手段)

ロックアウト
必要以上にストライキなどをされた際には、使用者は作業所を閉鎖できる。ロックアウトが正当であれば、使用者は労働者に対しその期間の賃金を支払わなくてよい。

公務員のストライキ禁止

禁止の根拠
公務員は全員、団体行動権(ストライキ)の行使は禁止。根拠:憲法に「全体の奉仕者」と書かれているため(消防士・教師・市役所職員すべて)。
労働組合の結成
治安維持系(警察・消防・自衛隊)以外の公務員は労働組合の結成は可能(ストライキは不可)。

労働三法

法律名 内容
1945年 労働組合法 労働組合を作ってよい。組合結成・加入を理由にした解雇・賃金削減は禁止
1946年 労働関係調整法 労使対立を調整するための法律。公務員のストライキ禁止についても規定
1947年 労働基準法 労働条件の最低基準を定める法律

労働基準法の主な内容

労働時間
1日8時間・週40時間以内
休日
週1日は休日を設定(有給休暇の保障)
男女同一賃金の原則
男女の性別を理由に賃金を変えることは禁止
満15歳未満の労働禁止
※映画・演劇など芸術事業は例外
満18歳未満の深夜労働禁止
22時以降の深夜労働は禁止
フレックスタイム制
フレックスタイム制:始業・終業時刻を労働者が自由に決定できる制度
監視機関
労働基準監督署(通称:労基)→ 違反企業は「ブラック企業」として認定・公表

その他の労働関連法

法律名 内容
1985年 男女雇用機会均等法 職場での男女平等を求め、性別による差別の禁止。採用で男性・女性限定募集は原則禁止
1995年 育児・介護休業法 男女ともに、育児・介護休業申請が可能(育休は子が1歳になるまで。期間中は給料の50%支給)
1999年 男女共同参画社会基本法 ポジティブアクション(不遇な立場の人の地位向上のための措置)が推進されるようになった

日本の雇用・労働の現状

雇用形態の変化

終身雇用制+年功序列型賃金制
伝統的な日本の雇用形態。終身雇用制(原則定年まで解雇しない)+年功序列型賃金制(年齢が上がるほど給料が上がる)が中心だった。
成果報酬制
近年の変化として成果報酬制が広まっている。実力に応じて給料が決まり、結果次第で解雇もありうる。

労働環境の現状

完全失業率
完全失業率(働きたくても仕事につけない人の率):約3〜4%(近年平均)。失業率改善のため、ワークシェアリング(一定の仕事を分かち合うこと)も試みられている。
非正規雇用労働者の増加
契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど非正規雇用の労働者が増加している。
ワーキング・プア
ワーキング・プア:普通に働いても生活の維持が困難な労働者層の増加。
ニート
ニート:雇用もされず、就労に向けた訓練も受けず、学校に行っていない人。
外国人労働者の増加
グローバル化に伴い、外国人労働者が増加している。
その他の問題
過労死・サービス残業の問題。

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

市来公平先生からの問い:「『安定の終身雇用』と『実力勝負の成果主義』、働くならどちらを選びますか?その理由は?」

終身雇用は「安定」の代名詞だったが、バブル崩壊後の経済停滞・人口減少・グローバル化の中で揺らいでいる。 1990年代以降、多くの大企業が成果主義を導入したが、「短期業績偏重」「チームワークの崩壊」「長期育成の軽視」などの問題も浮上した。 最近は「ジョブ型雇用」(職務内容を明確にして採用・評価する仕組み)への移行も増えている。 どちらが「いい」かは個人の価値観によるが、重要なのは「自分の働き方を主体的に選択できる力」を持つこと。 日本の労働者がより良い待遇を求めて転職・交渉できる社会を作るためには、労働基本権の知識と活用が不可欠だ。