講義動画
この講で説明できるようになるギモン
- 国会の3つの肩書きは?
- 衆議院と参議院の違い(定数・任期・被選挙権・解散)は?
- 4種類の国会(通常/臨時/特別/緊急集会)はどう違う?
- 衆議院の優越が認められる4つの場面は?
- 国会議員の3つの特権(不逮捕/免責/歳費)とは?
国会は「3つの肩書き」を持つ機関
日本国憲法 第 4 章 が定める 国会 には、憲法上 3 つの肩書きがあります。 これは三権分立(立法・司法・行政)のなかで、立法を担う国会だけが持つ 「やや上位」の地位を示しています。
※ その証拠に、衆議院議長・参議院議長の給料は 内閣総理大臣(行政の長)や最高裁判所長官(司法の長)よりも上です。
国会の3つの肩書き
国会=立法府の三冠
- 国権の最高機関 立法>行政=司法
- 国唯一の立法機関 法律を作れる唯一の場所
- 国民の代表機関 選挙で選ばれた人の集まり
二院制 ── 衆議院と参議院
国会は 衆議院 と 参議院 の二院から成ります。 慎重な審議のために二院制が採用されています。
衆議院 vs 参議院
- 衆議院
- 定数 465 / 任期 4 年 / 被選挙権 25 歳 / 解散あり / 内閣不信任決議あり / 「庶民院」のあだ名
- 参議院
- 定数 248 / 任期 6 年(3 年ごとに半数改選)/ 被選挙権 30 歳 / 解散なし / 「識者の府」のあだ名(最近は「衆議院のカーボンコピー」とも)
定数は 憲法ではなく公職選挙法で定められています(時代によって変わる)。 被選挙権が衆議院 25 / 参議院 30 と異なるのは、衆議院は幅広い年齢、参議院は知識人を集めたいという狙いの違いです。
比例代表の選挙区も違います。衆議院は全国を 11 ブロックに分割、参議院は全国 1 ブロック。 参議院は「知名度のある知識人」を当選させる狙いがありましたが、結果として 有名人候補(タレント議員)が通りやすくなる側面も生まれました。
4 種類の国会
国会の種類
- 通常国会
- 毎年 1 月に召集/会期 150 日/予算審議が中心(3 月末までに次年度予算を決める)/1 回だけ延長可・再延長は不可。
- 臨時国会
- 内閣が要求するか、国会議員が要求すれば開催可能。
- 特別国会
- 衆議院の解散総選挙後に必ず召集され、内閣総理大臣の指名を行う。
※「内閣総理大臣の指名=特別国会」ではない点に注意。指名は通常・臨時でも可。 - 参議院の緊急集会
- 衆議院が解散中に緊急の議題が出た場合に開催(過去に 2 回開催)。「国会」とは呼ばない(両院揃わないので)。
国会議員の3つの特権
不逮捕特権/免責特権/歳費特権
- 不逮捕特権
- 国会の 会期中は逮捕されない(国民代表の発言を守るため)。
- 免責特権
- 議会内の発言・採決で外部の責任を問われない。例:民泊解禁発言で旅館経営者から訴えられても、損害賠償を負わない。
- 歳費特権
- 一般職国家公務員の 最高額(事務次官級)以上の給料を受ける(年 2,000〜2,200 万円台)。
国会の権限と「ダミー」に注意
国会の主な権限:法律の制定/予算の 審議/決算の審議/条約の 承認/憲法改正の 発議/内閣総理大臣の 指名/内閣不信任決議/弾劾裁判所の設置/国政調査権。
入試の典型ダミー:
- 「予算案の作成」は国会ではなく 内閣の仕事。国会の仕事は「予算の 審議」。
- 「条約の 締結」は内閣の仕事。国会の仕事は「条約の 承認」。
- 内閣不信任決議は 衆議院のみ(参議院にはない)。
委員会と本会議/衆議院の優越
法律案は 委員会(専門審議・原則非公開・公聴会で専門家から意見を聞ける)→ 本会議(多数決・公開)の順で審議されます。 本会議を開くには 各議院の総議員の 1/3 以上の出席が必要(定足数)。
衆議院の優越が認められる4場面
- 予算の議決
- 衆議院の議決で決定。両院の議決が異なれば 両院協議会で調整、不成立なら衆議院案。
- 条約の承認
- 同上。
- 内閣総理大臣の指名
- 同上。
- 法律の議決
- 衆議院可決・参議院否決の場合、衆議院で 2/3 以上の再可決で成立。
- 内閣不信任決議
- 衆議院のみが行使可能。
衆議院の優越が認められるのは、参議院より 任期が短く(4年)解散もあり、被選挙権が低い ため、国民の意思をより強く反映していると考えられているからです。
この講のおさえどころ
- 国会の3つの肩書きは?国権の最高機関/国唯一の立法機関/国民の代表機関
- 通常国会の会期は?150 日(延長は 1 回まで)
- 衆議院の解散総選挙後に必ず開かれる国会は?特別国会
- 本会議の定足数は?各議院の総議員の 1/3 以上
- 法律案の衆議院 2/3 再可決が必要なのはどんな時?参議院で否決された場合
- 国会議員の3つの特権は?不逮捕特権/免責特権/歳費特権
考えを深めるための論点
参議院が「衆議院のカーボンコピー」と呼ばれる現状は、二院制の意味を損なっているでしょうか?
二院制の本来の目的は 「異なる視点で慎重に審議すること」です。 ところが現在の参議院は、衆議院と同じ与党構成・似た政策で動いていることが多く、「もう一つの衆議院」になってしまっているという批判があります。 改善策としては、参議院の被選挙権年齢を引き上げる・選出方法を変える・両院の役割を明確に分ける(例:参議院は長期視点の政策を担当)などが議論されています。 二院制を 「同じことを 2 回やる仕組み」ではなく「違う視点を持ち寄る仕組み」に戻せるか—— が課題です。