非公開試作版 / 政治編 07「日本国憲法と大日本帝国憲法」
07

第 2 部 / 政治編

日本国憲法と大日本帝国憲法憲法の定義/両憲法の違い/公共の福祉

講義動画

動画ファイル提供待ち

出典:市来公平 先生/TR-014「憲法」(9:49)

この講で説明できるようになるギモン

憲法 = 法のキング

憲法 の定義は 日本国憲法 第 98 条 に書かれています。憲法とは 最高法規—— 日本で最も力を持つ法のことです。 もし憲法に反する法律があった場合、優先されるのは憲法のほう。「法律のキング」のような存在です。

日本には明治時代から 大日本帝国憲法(=明治憲法)がありましたが、終戦を機に改正され、現在の 日本国憲法 に変わりました。

2つの憲法の対比

大日本帝国憲法 vs 日本国憲法

  • 大日本帝国憲法 天皇主権・欽定憲法
  • 日本国憲法 国民主権・民定憲法

欽定憲法と民定憲法

制定主体による分類

欽定憲法
権力者(天皇など)が制定した憲法。大日本帝国憲法はこれ。
民定憲法
国民の手で制定した憲法。日本国憲法はこれ。

大日本帝国憲法の特徴

天皇は 統治権を総攬 し、神聖不可侵とされました。 天皇が決めたことに人は文句を言えず、軍人だけが裁かれる 特別裁判所(軍法会議)も置かれました。軍隊の最高指揮権=統帥権も天皇が持っていました。

人々の権利は「臣民の権利」として認められましたが、決定的なのが 法律の留保 という規定です。 法律を作れば、人々の権利を制限できる—— という仕組みで、戦時中に治安維持法・国家総動員法といった法律が次々と人権を抑え込みました。

日本国憲法の特徴 ── 公共の福祉

日本国憲法では、基本的人権は 侵すことのできない永久の権利 とされ、法律の留保は否定されています。 ただし、ある人の権利と別の人の権利がぶつかったときには、公共の福祉 という考えで調整されます。

たとえば授業中に大声で歌う子に先生が注意する場面。歌う子は「言論の自由がある」と主張できますが、他の生徒には「教育を受ける権利」があります。 どちらの権利を優先することが社会全体のためになるか を判断するのが公共の福祉の役割です(この例では教育を受ける権利が優先されます)。

日本国憲法に「数値」が書かれている3つだけ

日本国憲法に 具体的な数値(人数)が明記されているのは、衆議院議員数・参議院議員数・最高裁判所裁判官数の 3 つだけ です。 それ以外の細かい数値(投票年齢・被選挙権年齢など)はすべて別の法律(公職選挙法など)に書かれています。

入試では「憲法に書かれている/書かれていない」が頻出。「書かれている 3 つ」だけを覚え、それ以外は「別の法律」と判断する戦略が確実です。

この講のおさえどころ

考えを深めるための論点

「公共の福祉」と「法律の留保」は似ているようで決定的に違います。何が違うのでしょうか?

法律の留保は 「法律を作れば人権を上書きできる」仕組みで、権力者の側に立つ調整原理です。 公共の福祉は 「人権どうしの衝突を社会全体の利益で調整する」仕組みで、人権そのものは消えません。 前者は人権を制限する手段、後者は人権を保ったまま優先順位を決める手段—— ここが本質的な違いです。