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問い

特別ページ / 第 1 部 / 現代社会編

単元を貫く問い

「単元を貫く問い」とは

「単元を貫く問い」とは、その部(パート)全体を通じて学んだ知識・視点を総合して答える、 部の「締めくくり問題」である。単純な知識の確認ではなく、 学んだ内容をどう活用して自分の立場を論じられるかを問うものだ。

第1部・現代社会編(講00〜講05)では、 現代社会の諸課題を学んだ。 SDGsに代表される「持続可能性(Sustainability)」の概念は、 現代世代の幸福と将来世代の幸福を両立させることを意味する。 この問いは、現代社会の課題群の中から「最も優先すべき課題は何か」を考えさせる。 「全部大事」ではなく、あえて一つを選ぶ思考の訓練がここに込められている。

この単元の核心問題

Q. 持続可能な社会を実現するために、最優先で解決すべきだと考える課題と、そう考えた理由は?

SDGsは17のゴールと169のターゲットから構成される。 この問いは「17のゴールをすべて同時に達成しよう」ではなく、 「あなたが最も優先すべきと考える課題は何か」を自分の判断で選び、 その理由を論理的に説明する力を養うことを目的としている。 「最優先」を選ぶということは、他の課題を「現時点では後回しにする」ことの合理的な根拠も求められる。

この問いに答えるための視点

「最優先課題」を選ぶ際には、感情や印象だけで判断するのではなく、 以下の5つの視点から課題を比較・検討することで説得力が増す。

  1. 現代性——今まさに進行中の問題か?
    例:少子高齢化は現在進行形で日本社会に影響を与えており、 地球温暖化も数値として進んでいる事実がある。
  2. 将来性——次世代への影響はどの程度か?
    不可逆的な問題(一度進むと元に戻せないもの)ほど緊急性が高い。 生物多様性の喪失・気候変動・核廃棄物などは一度起きると回復が困難だ。
  3. 波及性——一つの問題が他の問題を引き起こすか?
    例:少子高齢化→労働力不足→社会保障費の増大→財政悪化→増税→消費低迷 というように、複数の問題が連鎖する課題は「根っこの問題」として優先度が高い。
  4. 解決可能性——技術・政策・国際協力で解決できるか?
    人類がすでに解決策を持っている問題は、「今やれば解決できる」という観点から優先しやすい。 一方、解決策がまだ不明な問題は研究への投資が必要となる。
  5. 公正性——課題の影響が特定の人々に集中していないか?
    脆弱層(弱者・途上国)への影響が大きい課題は、 公正(フェアネス)の観点から優先度が上がる。

論述の質を高めるために

以下のルーブリック(評価基準)を念頭において論述を組み立てると、答案の質が高まる。

評価の観点 水準A(十分に達成) 水準B(おおむね達成) 水準C(要改善)
立場の明確さ 最優先課題を一つ明確に選び、冒頭で宣言している 課題を選んでいるが、やや曖昧な表現が残る 「どれも大切」など立場が定まっていない
根拠の質 データ・事実(数値・具体例)を2つ以上用いて根拠を述べている 根拠があるが、データや事実の活用が不十分 根拠が「感覚的・印象的」な説明にとどまる
論理の整合性 選んだ課題が「最優先」である理由が論理的に一貫している おおむね筋が通っているが、飛躍がある 根拠と結論の間に論理的なつながりがない
反論への言及 他の立場(別の課題を選ぶ立場)への反論・反駁を含む 他の立場に触れてはいるが深掘りがない 自分の立場のみで、他の立場に言及がない
表現の適切さ 公民的な概念語(SDGs・持続可能性など)を正確に使っている 概念語を使っているが、説明が不正確な箇所がある 授業で学んだ概念語の使用がほぼない

この問いをどう考えるか

「どれが最優先か」という問いに「正解」はない。 大切なのは、選んだ理由の「質」だ。

少子高齢化・地球温暖化・情報格差など、どれも重要な課題だが、 この問いは「最優先」を一つ選ぶ力を養うことが目的である。

例えば「少子高齢化」を選ぶなら、 労働力不足・社会保障費の増大・地域消滅・文化継承困難という波及効果の大きさを根拠にできる。 「地球温暖化」を選ぶなら、 不可逆性——一度進んだら元に戻せないという緊急性——が説得力を持つ。

どの課題を選んだかではなく、なぜそれを選んだかという理由の質が論述の優劣を分ける。 「なぜ他の課題より優先されるべきか」という比較の視点を忘れずに論じることが重要だ。